本読むヒトデ

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42年分の「Number」がやって来た

こんばんは。古書店のHITODE BOOKS(ヒトデブックス)です。

 

ひと月ほど前、スポーツ雑誌の「Number」を買い付けました。創刊は1980年4月で、現在本屋に並ぶ最新の1053号はプロボクサーの井上尚弥が表紙を飾っています。今回の仕入れではその創刊1号から1050号までの全冊セットを譲っていただきました。すべての発行号を持っていたということに、衝撃を受けました。

 

「Number」創刊号

「スポーツは脳ミソまで筋肉と化した特殊な人間の独占物ではない。ごく普通の暮らしをしている人間の中に息づいているヒューマニティに根ざしたものなのだ。人間の問題と地つづきのスポーツ。そんな立場から新しいスポーツ誌を作りたい、と思っています」

 

「行儀の悪いメッセージですが」と見出しのつけられた編集長の巻頭言には、このようなことが書かれていました。スポーツの報道といえば、前日におこなわれた試合の結果を伝えるスポーツ新聞が主流だった当時「Number」のようなスポーツのなかにあるドラマを描くスタイルの雑誌は少なかったようです。(調べ切れていないので「ようです」と書いておきます)

「Number」創刊号目次

スポーツ総合誌としてだけでなく、現在は日本を代表する雑誌にまで成長した「Number」ですが、実際、多くの読者に受け入れられまでには長い時間がかかったようで、創刊から10年は赤字だったということがWikipediaに書いてあります。

 

いま事務所には仕入れの段ボールに収められた「Number」が山のように積まれています。日本と世界のスポーツ界にまつわる42年の歴史が詰まった、大事典のようです。できることなら、このままバラさずに販売したいと思っていますが、検品にも時間がかかりそうで、まだ具体的なことは決めていません。

 

一部を取り出して読んでいたところ、面白いことに気がつきました。2009年7月16日に発売された733号は、読売ジャイアンツ75周年記念の特集号となっています。表紙は坂本勇人で、長嶋茂雄王貞治松井秀喜のインタビューが掲載されています。

 

同じ頃、これまた日本を代表するカルチャー雑誌「BRUTUS」も同様の大特集をおこなっています。特集タイトルは「全国民に捧げる読売巨人軍特集」です。2009年当時の所属選手&職員全員が東京ドームのグラウンドに揃った、篠山紀信撮影の写真を見開きで掲載する迫力あるページからはじまる、こちらも見応えある内容です。

「Number」「BRUTUSジャイアンツ特集号

ふたつの雑誌を比較すると「BRUTUS」には長嶋茂雄のインタビューがないことに気がつきます。ブルータスとしてもミスタージャイアンツ長嶋茂雄のインタビューは是が非でも掲載したかったはずです。マガジンハウスほどの出版社であれば、十分にそれも可能だったはずです。でも、いろいろな事情があってそれが叶わなかった。それならば(?)と、「BRUTUS」が掲載したのが読売新聞社の会長・主筆渡邉恒雄インタビューでした。機嫌のよさそうな笑顔が印象的です。

 

ちなみに「Number」に掲載された長嶋茂雄のインタビュー記事のクレジットを確認すると、記事担当はスポーツ報知の方でした。それは編集部からの指名だったのか、長嶋茂雄サイドからの指名だったのか。長嶋茂雄のインタビューともなれば、すべてが簡単には進みそうにありません。こういう雑誌作りの裏側にも、いろいろなドラマがあるんでしょうね。検品を兼ねて、読み込んでいこうと思います。

 

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