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「面白半分」創刊2号・渥美清さんの随舌

インタビューや対談の記事が好きな古書店、HITODE BOOKS(ヒトデブックス)です。さて、お正月頃に仕入れた雑誌「面白半分」の創刊第2号に渥美清さんの随舌(ずいぜつ)が掲載されており、興味深く読みました。

 

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随舌とはこの雑誌独自の言葉で、随筆として原稿を頼むとお金がかかるからと聞書きによって作られた記事の事だそうです。

 

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渥美清さんは「男はつらいよ」や寅さんというキャラクターについて話しています。当時(1972年)はまだ同シリーズの8作目が世に出た頃でした。今の私たちは「男はつらいよ」がその後何十作と作られた事、渥美さんが最晩年まで寅さんを演じた事を知っているわけだけど、記事の中の渥美さんはもちろんそんな事は知りません。「この仕事は一生の思い出になっていくんでしょうねぇ」なんて言葉もあり、現在進行形で語られる寅さんがなんだか新鮮でした。

 

ところで昔、ネットで渥美清さんのインタビューの動画を観ました。言葉を選びながら静かに語る様子を見て驚いたものです。渥美清さんと寅さんは同一人物ではないという当たり前の事を思い出させられました。この「随舌」も渥美さんのそんな語り口をそのまま書き起こしたようで、人柄が窺えるような気がします。そして文章の横には書生さんのような服装をして無造作ヘアの渥美さんの写真が。寅さんとのギャップが面白いです。

 

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「面白半分」は作家さんが交代で編集長をしていました。この号(を含む創刊号からVol.6まで)の編集長は吉行淳之介さん。この随舌を載せてくれて本当にありがとうございます。読めて良かった…。渥美清さんを好きな方にも、ぜひ読んでほしいです。