本読むヒトデ

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「中一時代」1973年12月号の広告(富士エスパトロン5)

こんばんは。古い雑誌が好きな古書店・HITODE BOOKS(ヒトデブックス)です。
 
旺文社が発行していた学習雑誌「中一時代」の1973年12月号。

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「中一時代」73年12月号
裏表紙の広告に目を引かれました。「なぜ中学生向けの雑誌にバイクの広告が?」と思いましたが、よく見たらバイクではなく、テールライト付きの自転車でした。名前は「富士エスパトロン5」。当時の少年たちの憧れの的であったようです。80年代半ば生まれの私の記憶には…ないな〜。
 

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 この広告、コピーがいちいちクサくて良いのです。「赤い血潮のフラッシャー」「熱き想いをふり捨てて 男十四の帰り道」「いかつく新登場」当時の中一男子にはやっぱり刺さったのでしょうか、そして今の中一男子はどう感じるでしょうか。「かっけー!」となるなら微笑ましいです。
 
そして、もう一つ気になるのが価格。厚労省の統計によると1972年の大卒初任給の平均は52700円。対して富士エスパトロンは49800円でした。高級な自転車だったんですねー。時期的に「クリスマスプレゼントとしてコレどう!?」という意味の広告だったんでしょうね。当時子供にねだられて困った親御さんもいた事でしょう。
 
色々と考えていたら「男はつらいよ」シリーズの70年代の作品を観返したくなりました(当店は寅さんファン)。あの作品には、当時の社会や風俗を記録するためと思われるような、町並みやお祭りといった風景だけを撮影したシーンが必ずあります。その中に、この自転車に乗った男の子がいる気がします。