本読むヒトデ

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時代は変わる・キッチンにアライグマ

こんばんは。料理・生活誌も好きな古書店・HITODE BOOKS(ヒトデブックス)です。

 

先日入荷した料理雑誌やレシピ本の中の1冊に目が留まりました。「saita」1998年2月号です。こちら。

「saita」98年2月号の表紙

アライグマとお料理しています

パンか何かを作ろうとしている女性の傍らに、アライグマの「ゴミタマ」ちゃん。ゴミタマちゃんはお料理に興味津々の様子で、のし台に前脚を乗せて粉のにおいを嗅いでいます。

 

2019年の今、このデザインでOKを出す出版社、編集部ってあるだろうかと考えました。読者から不衛生だ等の意見・苦情が来る、のみならずSNSなどで「拡散」されて大変な事態になる可能性があるから。でも1998年にはOKで、こうしてこの表紙が世に出た。日本は昔から清潔な国であるというのは日本人の共通認識と言っても良いでしょうけど、たった20年前ですら今とは衛生観念や何かへの許容範囲がちょっと違うようです。

 

生活系の雑誌のバックナンバーを読んでいると、こういう「常識や価値観の変化を感じる瞬間」がたまにあります。例えば「暮しの手帖」の増刊号で、バックナンバーの総集編のようなものがありました。その中に「自分の息子に立ち小便をさせる事はやめましょう」という短い文章があって。私の中で「暮しの手帖」読者のイメージは、お料理と手芸を愛しアナログな日々を丁寧に暮らす奥さんというもの。そんな奥さんたちから呆れられる事うけあいの私でも、子供にそういう事はさせない…。何年の何号から抜粋した文章なのか分かりませんでしたが衝撃的な呼びかけでした。

 

いや〜昔の雑誌って面白いですねと思っていたら、ふと気づきました。たまに、大学や研究所などに宛てて一見そぐわないような軽めの本・雑誌の領収書を切る事があります。どういう資料として使われるのか不思議でしたが、こういう「社会の変化」みたいなものを調べる手がかりだったのかもしれないと…。もしそうなら、ぜひどなたかに調べて教えてもらいたい事があります。「女性誌からリンスという言葉が消えたのはいつか」。今じゃコンディショナーと言うのが当たり前で、うっかりリンスと言ってしまうと恥ずかしく感じるような世の中ですが。この前読んだ2000年頃のファッション誌(詳細を忘れてしまい悔しい…)には「シャンプー・リンス」を略して「シャンリン」と書いている記事がありました。2001年は、どうですか?誰に聞くともなく終わります。