本読むヒトデ

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絵はがきに見る筑豊の明治・大正・昭和

こんばんは。写真が好きな古書店・HITODE BOOKS(ヒトデブックス)です。最近入荷したものの中にとても私好みのものがありました。

 

2002年に福岡県・王塚装飾古墳館で開かれた「絵はがきに見る筑豊の明治・大正・昭和」展の図録。

「絵はがきに見る筑豊の明治・大正・昭和」図録

「絵はがきに見る筑豊の明治・大正・昭和」図録

絵はがき収集家・平原健二氏のコレクションから筑豊に関するものを140点取り上げ、明治から昭和にかけての風景や人々の暮らしを見てみようという展覧会だったようです。

 

私にとって筑豊といえば土門拳の「筑豊のこどもたち」。あれは、戦後のエネルギー政策により社会の石炭ばなれが進んだ後の筑豊で、貧困に陥った家庭や子供を撮影したものです。この図録ではそれ以前の豊かで活気ある筑豊を見る事ができます。こんな活動写真館があったとか(ちなみに林芙美子がここによく来ていたそう)…

 

絵はがきに見る筑豊の明治・大正・昭和

 

子供たちが学校に通い、当時「手工科」と言ったようですが図工の時間があり、粘土細工を教わっていたとか…。今では当たり前ですが、大正時代では家庭や社会にある程度の余裕が必要な事ではなかったでしょうか。

 

絵はがきに見る筑豊の明治・大正・昭和

 

他にも、炭坑で稼働する大きな機械の写真、視界いっぱいに広がる瓦屋根の家々を高台から映した写真など、当時の筑豊の様子が窺えるものがたくさんありました。

 

もう一枚ご紹介。私は「昔の運動会の写真」が好きです。なぜかノスタルジーを強烈に感じます。昔の写真は、人が真顔・直立不動で映っているものが多いので、そういうのとは違い動きがあるのが良いのかな。この図録にもありました〜。

 

絵はがきに見る『筑豊の明治・大正・昭和

 

キャプションから、大之浦炭鉱のレクリエーションとして開催された運動会らしい事が分かります。すごい数の人が競技を見ています。きっと盛り上がった事でしょう。

 

運動会の写真といえば「アサヒグラフ」1990年6月1日号に掲載されていた、小津安二郎が鎌倉の町内会か何かの運動会に飛び入り参加した時の写真も良かったです。くわえタバコで綱引きをする小津安二郎…時代を感じます。映っている人たちみんな笑顔で楽しそうなので気に入っていましたが、その「アサヒグラフ」はもう売れてしまいました。いつかまた入荷したいものです。